アンドロメダ銀河において、大質量星M31-2014-DS1が超新星爆発特有の輝きを放つことなく消失した。天文学者たちは最近、このブラックホールの静かな誕生を記録した。この稀な天文現象は「失敗した超新星(failed supernova)」と呼ばれ、中心核が直接特異点へと崩壊する星の死に関する重要な観測証拠となっている。20年近くに及ぶアーカイブデータの分析により、研究チームはタイムラインを再構築し、すべての大質量星が激しい爆発で一生を終えるわけではなく、中には単に消え去るものもあることを示唆した。
失敗した超新星とは何か?
失敗した超新星とは、大質量星が中心核崩壊を起こしながらも、明るい爆発を引き起こすことができず、星の外層が内側に落下することで直接ブラックホールが形成される稀な天文現象である。一般的なII型超新星とは異なり、内部の衝撃波が星の物質を放出するのに不十分であるため、星は減光し、可視光の世界から静かに消失する。
星の進化モデルは、かなりの割合の大質量星(おそらく20%から30%にものぼる)がこのような形で一生を終える可能性があると以前から予測してきた。標準的な超新星では、中心核の崩壊がリバウンド衝撃波を引き起こし、星の外層を宇宙空間に吹き飛ばすことで、銀河をもしのぐ輝きを放つ。しかし、失敗した超新星では、形成されるブラックホールの重力が非常に強大であるため、外側に向かう圧力を打ち消し、星の質量の大部分を飲み込み、かすかな赤外線の痕跡だけを残す。
天文学者たちはどのようにしてアンドロメダ銀河での静かなブラックホール形成を発見したのか?
天文学者たちは、当初は明るかったものの2016年から2019年にかけて劇的に減光し、2023年までに完全に消失した大質量星M31-2014-DS1を監視することで、アンドロメダ銀河での静かなブラックホール形成を発見した。NASAのNEOWISEミッションや地上観測所からの20年近いアーカイブデータを活用することで、研究チームは、この星が発光体から目に見えない点へと変化した特異な軌跡を追跡した。
2026年2月16日付の学術誌Scienceに研究成果を発表したチームは、Near-Earth Object Wide-field Infrared Survey Explorer(NEOWISE)を重要な手がかりとした。この赤外線アーカイブにより、チームは250万光年先にあるアンドロメダ銀河の塵を透かして、2014年に起きた特定の増光現象を記録することができた。この赤外線の急増(スパイク)は、中心核の核燃料が尽きる直前に星がその最外層を放出したことを示しており、リアルタイムで捉えられることは稀な、極めて重要な「前後」の記録となった。
- 2005年〜2014年:この星は大質量の変光星として、安定した高光度の状態を維持していた。
- 2014年:赤外線輝度の急激な上昇により、厚いガス層の放出が示された。
- 2016年〜2023年:可視光が10分の1に急落し、従来の望遠鏡では観測不能となった。
- 2023年後半:崩壊現場を囲む加熱された塵から、かすかな赤外線の残光のみが残った。
M31-2014-DS1からブラックホールが形成されたことを証明する証拠は?
M31-2014-DS1からのブラックホール形成を裏付ける証拠には、光り輝く爆発を伴わずに元の明るさのわずかな分量まで持続的に減光したことが挙げられ、これは質量の大部分が内側に崩壊する中心核崩壊を示唆している。新たな特異点の周囲を公転し、塵に覆われた高温ガスから発せられるかすかな赤外線の残光は、星の中心核が高密度天体になったという結論を裏付けている。
伝統的な超新星に見られる「光の反響(ライトエコー)」がないことは、爆発の失敗を示す最強の指標である。M31-2014-DS1のような星が崩壊する際、放出される重力エネルギーは通常、巨大な爆発の動力源となる。しかし、今回の場合、物質は星自身の重力によって内側に落下した。NASA’s Astrophysics Data Analysis Programの支援を受けたこの研究によれば、形成された天体は約6.5太陽質量のブラックホールであると推定されている。これは、内部エネルギーの供給が尽き、星の重さを支えきれなくなったために中心核が直接崩壊する「静かな」死の理論モデルと一致する。
残された高温のガスと塵の「ベール」を検出できたため、この発見において赤外線天文学は不可欠であった。この星は可視光スペクトル上では消失したが、NEOWISEのデータは、破片の雲が依然として内部から加熱されていることを示していた。この熱は、星の表面は消滅したものの、中心に巨大で高密度の天体が残り、強力な重力を通じて周囲の物質と相互作用し続けていることを示唆している。
銀河の進化への影響と今後の研究
M31-2014-DS1の発見は、星々のこうした「静かな」終焉が、我々の近傍宇宙でこれまで認識されていたよりも一般的である可能性を示唆している。大質量星のかなりの部分が超新星段階を回避するとすれば、天文学者が目にする超新星爆発の数が、大質量星の理論上の誕生率が示唆する数よりも少ない理由が説明できる。この「失われた」超新星の集団は、期待されるような花々しい爆発を起こさずに単にブラックホールへと崩壊する星々によって説明できるかもしれない。
今後を見据えると、この研究の成功は、長期的なスカイサーベイと整理されたデータアーカイブの計り知れない価値を浮き彫りにしている。Vera C. Rubin Observatoryのような新しい施設が稼働を開始すれば、天文学者たちはさらなる失敗した超新星の候補を特定できると期待している。これらの事象のより完全な全数調査(センサス)を構築することで、科学者たちはブラックホールの質量分布や、宇宙で最も重い天体の複雑なライフサイクルをより深く理解できるようになる。今のところ、アンドロメダ銀河のこの消えゆく星は、星が爆発に失敗しながらも、見事にブラックホールへと変貌を遂げた最も明白な観測事例の一つとなっている。
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